WSJ講演会参加。

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講演会参加させていただきました。

大統領選素人の私にもわかりやすい説明でした。


冒頭WSJ東京支局長ピーターランダース氏より簡単な挨拶があった後、ジェラルドベーカー氏の講話。
内容的には以下の感じ
・今回の大統領選は自分のジャーナリスト人生のなかで最も特異で予測困難な大統領選挙。これはワシントンのジャーナリスト皆が言っている。
・この数日間世論調査ではクリントン氏が2〜3%リードだが、党大会後に行われた世論調査と比較してその差は縮まってきている。ここ数日クリントン氏には不運(トランプ支持者を揶揄する発言。健康問題)もあり、全く予断は許さない。トランプが勝利する可能性は低くない。
リバタリアン党、グリーン党の支持は二つ合わせて15%ほど。近年にない支持の拡大。
・歴史的な背景として人口動態は民主党有利に働いている。過去6回の大統領選で共和党が勝利したのは一度だけ(ブッシュVSゴアは50万票ゴアが多い)。非白人率の上昇、若者の民主党支持拡大、ヒスパニックの教育水準の上昇はいずれも民主党有利(教育水準が高い層は民主党に入れる割合が多いため)
・一方でアメリカ国民は変化を求める。過去20年で3期連続で政権を維持できたケースはレーガン→ブッシュのみ。クリントン氏はエスタブリッシュメントを象徴する人物。「変化」という要素はアウトサイダーであるトランプ氏に有利に働く。
・過去6回の選挙全て民主党に入れた州の代議員は242名、共和党は100ちょっと。民主党残り28名を確保すれば良い。クリントン氏は激戦州とされるペンシルバニア、フロリダ、オハイオノースカロライナのうち1つでもとれば勝利。トランプ氏は4つ全てで勝たなければ大統領にはなれない。
・経済は悪くないが中間層の所得が全く増えていない。その他外交などでも不満がたまっておりサンダース氏の躍進やリバタリアン党、グリーン党の支持拡大にもつながっている。
・史上最も嫌われている候補同士の戦い。両者とも不支持率が60%前半。こんなことは過去になかった。不支持率が高かったロムニー氏でも40%後半。
・今後ある三回の討論会は重要。クリントン氏に対する嘘つき、腐敗、信用できないと言ったイメージは長年の蓄積であるためイメージ改善は困難だが、トランプ氏は差別的な発言をやめ大人しくしていれば比較的簡単に改善できるという強みがある。
・今回の大統領選はグローバリズムの反動(ポピュリズムナショナリズムの台頭)という文脈で見る必要があると思う。

 

 

以下、質疑応答。

Q.ヒラリーが倒れたことに対してトランプの反応が静かだが?
A.ヒラリーが抱えられて会場を後にする映像は非常にショッキングだった。トランプとしてはことさらに騒ぎ立てる必要はない。ジョギングしたり筋トレしたり献血したり、自身の健康をアピールすることはあるかもしれないがこのことで必要に騒ぎ立てることはしないだろう。
ヒラリーの健康問題は以前から言及されていた。今回の件で彼女にとって深刻なのは「健康」ではない。アメリカ国民にまたしても「嘘つき」「胡散臭い」という印象を与えてしまったことだ。ヒラリー陣営にはいつもこの種の不透明感がつきまとう。情報を小出しにし、事態を小さく伝え、矮小化しようとする印象を与えてしまう。「なぜ熱中症と言った。」「なぜ最初から肺炎だと言わなかった。」と感じている国民は多いと思う。

Q.日本はトランプ大統領には備えるべきか?
A.もちろんだ。30%〜35%の確率でトランプが勝つ可能性がある。この時点で備えていないとすればそれはあまりにも楽天的だ。

Q.今後の注目は?
A.ウィキリークスからの暴露と経済イベント。ウィキリークスはさらなる暴露があると公言しており、選挙前に公表すると言っている。そしてここ数日アメリカの利上げ観測に伴い、世界的に株価が下落している。今後、大統領選に影響を与える何かが起こるかもしれない。

Q.トランプの外交通商政策が見えないが?
A.今後の討論会で見えてくるものもあると思う。最近トランプの見解の変化が目立つ。1100万人の不法移民の追放。ナフタの廃止といった主張は鳴りを潜めている。メキシコとの間の壁や、中国、日本に高い関税を課すといった政策も変化があるかもしれない。

Q.ヒラリーが健康問題で大統領選を辞退した場合はどうなるのか?
A.民主党は緊急の党大会を開き、大統領候補を新しく選出することになる。その時にサンダース氏が大統領候補になるのか副大統領候補が大統領になるのか、それはわからない。

Q.ヒスパニックは投票に行くと思うか?
A.トランプに対する不支持が多いため、これまでの大統領選よりは投票率が高くなると思う。一方でトランプ支持の多い白人の低所得者層の投票率も上がることが予想されその影響は相殺されるかもしれない。